ファンズでは「観察力と想像力」についてよく話をしています。
お客様を観察して想像して撮影に臨む。どういった家族なのかと観察し、どういった撮影をしてほしいと思っているのかと想像してみる。そういった力が撮影時に役立ちます。
作家の阿刀田高氏の著書で「想像力」に触れている箇所があったのでここに書いておきますね。
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生徒たちに1枚の写真を見せる。
風景写真だ。
「感じたことを何でも書いて」と命じる。
田舎の道端だろう、なんで馬が歩いてるんだ。郵便受けにだけ新しいのはなぜだろう。あれこれと考える。
そして書く。
写真家は当然自分の写真の中にメッセージを込めています。しっかりとその写真を見つめればそのメッセージを汲み取ることができる。そこを手がかりとして対象から何かを感じ取り書いていく。
自然の風景そのものは特に人間に伝えるメッセージを持っているわけではない。人間が勝手に読み取るのだ。
もともとメッセージを伝えようとしていないものから汲み取るのは難しい。そこで写真を介在させる。写真をとることでそこにメッセージが生まれる。
こういう経験を経ていけば(繰り返せば)ものを見て感じることが生まれ育っていく。
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阿刀田高「心残り」より